ダル・ジョバンニ さん

「田辺市上野を
グルメビレッジに」
ダル・ジョバンニ From イタリア To 田辺市

チーズ生産2年目で
「ジャパンチーズアワード2022」
銀賞・銅賞を受賞

国産ナチュラルチーズの全国コンテスト「ジャパンチーズアワード2022」にて、自ら製造したチーズが2つの部門で銀賞・銅賞を受賞されたダル・ジョバンニさん。普段は田辺市上野で、ゲストハウス「KUMANO WINERY HANARE」とレストラン「Dal Chef`s Table」を営むシェフであり、ブドウを栽培し、ワイナリーの創設も目指す「熊野古道ワイナリープロジェクト」を遂行なされています。ヤギ26頭をはじめ、七面鳥やニワトリをたくさん飼える広い敷地、自分たちで改修した古民家、そして雄大な景色。自身の住む地域を思う気持ちや日本の古民家に対する熱い思いが伝わってきました。

ダルさんご夫婦
@ゲストハウス&レストラン

和歌山県は自然豊かで食材の宝庫

和歌山県に移住する前はどこで何をしていましたか?

ダルさん:イタリアのレストランで8年間働いていました。

和歌山出身の奥様とはどこで出会ったのでしょうか?

ダルさん:私はイタリア出身なのですが、調理の仕事をしつつ英語の勉強をするためにイギリスへ渡っていたことがあるんです。そこで、語学留学中の妻と出会い、イタリアに戻って結婚しました。

そのあと、日本にいらっしゃったのですね。

ダルさん:そうです。はじめは、京都に住みました。日本人が食べる日本のイタリアンを学ぼうと思って、京都の日本人が経営するイタリアンレストランの厨房で2年間働いていました。

その時、和歌山でワイナリーをしようと思っていたんですか?

ダルさん:その時は考えていませんでした。自分の店を出したいと思って、日本人の味覚を知ろうと働いていました。

「和歌山」で店を出したいと思っていたのでしょうか?

ダルさん:自分の店を開こうと考えていて、それなら和歌山で、と思っていました。妻が和歌山に戻りたいと言っていたこともあるのですが、私も妻の実家のある和歌山をしょっちゅう訪れていて、食材もおいしいし、環境も良いですからね。和歌山に惚れ込みました。

具体的に、どこに惚れ込んだのでしょうか?

ダルさん:和歌山でもここは田辺市の上野という地域になるのですが、この地域は、気候が温暖です。また、まだまだ豊かな自然が残っていて、美味しい魚や野菜、果物がある食材の宝庫だと感じたからです。

ダルさん宅の裏山、
ブドウの木が植えてある

それが和歌山の魅力ということですね。

ダルさん:そうですね。

京都から和歌山に来て、すぐ今の場所でお店をオープンしたのですか?

ダルさん:最初は、田辺市の別の場所でお店をオープンしました。その時も、ちょっと畑で野菜を育てていて…。それから白浜町のホテルに誘われて、ホテルの厨房で働いていたのですが、やはり自分で作った野菜で食事を出したいと思って。畑作業もしつつ、仕事もしながら、もっと広いお店を出せる家を探していました。

ご自宅兼お店のこの家はどうやって見つけたのですか?

ダルさん:バイクでウロウロして農地もある家を探していました。見つけたのは、たまたまです!

そういう探し方もあるんですね!

ダルさん:希望にそう家を探すのは大変でした。空き家を見つけても誰に言えば貸してもらえるのかわからないし…。家探しをもっと楽にできるようになったらいいですね。

Old Japanese Styleは魅力的

日本/和歌山県にきて驚いたことを教えてください。

ダルさん:Old Japanのイメージ !過去からずっと変わらず存在し続けているOld Japanese Style。 森林もいっぱいあるし、この家も最初は森林の中で荒れ地にあったので驚きました。

日本文化でおもしろいものはありますか?

ダルさん:Japanese Styleの古民家が頑丈で魅力的です。洋風スタイルの家は、数年すると使い物にならなくなってしまう。すると、不要になってしまいます。
イタリアの法律では、古民家の近くに新築を立てることはできないんですよ。古民家をリフォームして使わなければいけないんです。日本の古民家も、もっと大切にしてほしいです。古民家も放置してしまえば、壊すしかなくなってしまう。それは悲しいです。
ただ、空き家がそこにあるのに、売ってほしくても所有者が手放したくないという問題もある。
そういったところを解決できれば良いと思います。

  • KUMONOKODO WINERYの看板
  • ゲストハウス&レストラン

今のお仕事の楽しさを教えてください。

ダルさん:自分が発信している「熊野古道ワイナリープロジェクト」にお客さんが喜んでくれていることですね。
今まで自分が取り組んでいることに賞をいただいたり(※)、お客さんに喜んでいただけたり、少しずつ結果が出ていることで、さらに頑張ろうと思わせてくれる。
この場所で、この環境で、すごくよかったと思っています。自分のやりたいこととうまく融合できたと思います。  ※NPOチーズプロフェッショナル協会(東京都)主催の国産ナチュラルチーズの全国コンテスト「ジャパンチーズアワード2022」にて、自家栽培のサンショウの実で作ったジャムをチーズの中に入れ込んだ「Kumano Sansho」がオープンカテゴリー部門で銀賞、自家栽培のホップをまぶした「Kumano Hop IPA」がソフト/バラエティ部門で銅賞に選ばれた

  • 作成中のチーズ
  • 「ジャパンチーズアワード2022」で
    授与された賞状

お忙しそうですが、休日はありますか?

ダルさん:お客さんがいればゲストハウスを営業しますが、お客さんがいなければ休みだ~!とは思います。でも、そんな日も、ヤギなどの世話をしたり、畑を耕したり、ソースを作ったりと、お客さんがいなくても何かしています。楽しんでやっていますよ。
ちょっと時間があれば、田辺市龍神村の李さんのお店など、お店を開業している方のところに行って、刺激を受けています。

自分の活動が周りの人たちに伝わって、
田辺市上野地域を元気にしたい。

地域の方との関わりについてお聞きしたいのですが。

ダルさん:この土地は、約6千平方メートルの梅畑の耕作放棄地だったのですが、約1年かけて開墾して、今はブドウを育てています。この時、地域の人に協力してもらえたからこそ畑にできました。近所の方がユンボを貸してくれたりしたんです。
ただ、この地域・田辺市上野は高齢化が進んでいるので、若い人たちにもっと移住して来てほしいですね。畑は持ち主が高齢者ばかりなので、引き継いでくれる人を探しています。この地域はチャンスが多いと思いますよ。水がおいしいし、広い道も近くまで繋がったことですし。

田辺市上野地域に熱い思いのあるダルさん。ダルさんが大切にしているもの・ことはなんでしょうか?

ダルさん:今自分がやっていることを精いっぱいやっていくことです。
この行動が周りの人たちに伝わって、この地域をもう少し元気にしたいと思っています。
この地域で自分にも「何かできることがある」ということが伝われば嬉しいです。

そんなダルさんの夢はなんですか?

ダルさん:「田辺市上野グルメビレッジ」を作ることです。
私はワインとチーズを作りますから、ほかの人がビールやパン、はちみつ、お茶、お蕎麦屋さんなどの日本の伝統のお店を開いてもらいたい。それに、アクティビティも!この上野の地域だけで、いろいろなことが体験できるような、グルメビレッジを作りたいですね。
また、近所にあった学校が廃校になりました。地域の人が使いたいといえば使えるようですが、全部を一人で使うこともできない。近所の人と協力して利用したいが、多くが高齢者なので、なかなか実現できないです。どうにかして、この廃校を活用できないかなと思っています。


田辺市上野地域への熱い思いで、夢を語ってくださったダルさん。インタビューにご協力いただきありがとうございました。最後に、ダルさんにお気に入りの一枚をお願いしたところ、ダルさんの裏山からしか見えない特別な景色をいただきました。

ダルさんのお気に入りの一枚

ダルさん宅の裏山からの雄大な景色、
奥には海も見える
  • 安藤 マリアンヌ From フランス To 田辺市

  • リー 先捷シェンジェ From シンガポール To 田辺市龍神村

  • アンディー・ストラックマーセル From アメリカ To 日高川町

  • アダム・バラン From アメリカ To 有田川町

  • ダル・ジョバンニ From イタリア To 田辺市

  • ドミニク・シュミッツ From ドイツ To 上富田町

  • ローランド From ドイツ To 海南市